栄養不足から見た「筋肉のこり」

筋肉でいうと、例えば「肩こり」。

国内で肩凝りを訴える人は、小学生でも見られるほど非常に多く、国民病№1との声も。

「肩こり」は病名ではなく、首や肩、背中の上部などにこわばりがあり、「こる」「はる」「だるい」「痛い」「重い」などの感覚が生じている状態。

症状の程度も、軽いこりから「五十肩」といわれる強い痛みと炎症を生じるものまで差がある。                                              しかし、肩こりが心臓病のような大きな病気を示唆していることもあるので、頑固なものは注意が必要。

 

普通の肩こり

肩こりは筋肉の緊張の悪循環

腰痛と同様に肩こりは一種の現代病で、人間が座って、細かい手の作業をし始めてから起こってきた症状ではないかといわれています。

人間は脳が発達した結果、頭に4~5㎏の重さがあるんです。

勉強、読書、デスクワークなどの作業は、いずれも前かがみの姿勢で行われていて、首や肩の筋肉を常に緊張状態にさせている。

筋肉が長時間収縮すると、筋の中を流れる血液の量が減って、酸素不足の状態になります。

この状態が続くと、筋肉の中に疲労物質が蓄積されていき、結果、筋肉にこわばりが生じ、痛みやだるさが感じられるようになるんです。

肩こりは、筋肉の緊張をきっかけにして起こるが、その緊張によって作られる乳酸が刺激物質になり、さらに筋肉が収縮するという悪循環をたどって、症状は重くなっていくことが多いです。

 

 

運動と生活

デスクワークなどでは、一部の筋肉だけが緊張している状態にあります。肩関節の柔軟性を保つ運動が勧められます。

・長時間続けず、一時間か30分おきに運動をする。→このあたりは、当院に来られている患者さんならやり方わかりますよね。

忘れてしまった場合は、ご来院ください^^!

・肩の関節を冷やすことを避け、温めて血液循環を良くする。風呂に備長炭を入れると遠赤外線効果で温まりますよ。

・夏はクーラーの風を避け、暑すぎなければ風が直接当たらないよう、長袖などを着用するのもオススメです。

ビタミンB1の不足と肩こり

医薬品のビタミンB群製剤には、「疲労・肩こりなどの症状の緩和に」などの効能がうたわれています。

その理由は、ビタミンB1には細胞内でブドウ糖をエネルギーに変える働きがあり、B1不足により、乳酸が蓄積して体中の筋肉がだるくなるなど、疲労の状態が引き起こされるからです。

歴史上で、玄米を精製した白米を食べて脚気が増えたというのは有名な話。

脚気は慢性疲労から始まり、下痢や神経の異常、麻痺、浮腫などが生じ、ひどくなると心不全から死に至ることもある。

B1不足が、日本人に肩こりが多い理由の一つである可能性がある。

白米、白小麦粉、砂糖は炭水化物が豊富。

しかし、それを代謝するビタミン・ミネラルを含んでいないため「精製炭水化物」とか「空のカロリー」という。

近年では脚気になることは稀だが、清涼飲料の飲みすぎでB1欠乏になる青少年が増えている。

大人も過食、アルコールの多飲、カフェインの摂り過ぎなどの要因によって、B1欠乏を招く。

怒りっぽい、いらいら、集中力低下が

B1欠乏初期のサイン。

 

マグネシウムと筋肉の緊張

食物を白くする(精製された)ことによって、

B1だけでなく、その他のビタミンB群、またマグネシウム、マンガンなども失われる。

こりの原因になる、刺激を起こす筋肉中の酸化物質は、動物性食品や食品添加物から体に取り入れられる。

この時にカルシウムが少ないと、酸性物質を中和することができず、筋肉の疲労から肩こりが生じ始めていく。

血液中のカルシウム濃度が低下すると、その不足を補おうとするため、骨に含まれるカルシウムが溶け出されていく。その量が多いと組織中にカルシウムが増えすぎて、筋肉が硬く、緊張した状態になっていきます。

この状態を改善するには、マグネシウムを十分に摂ることが必要。          

マグネシウムは、細胞内ミネラルといい、カルシウムが組織に沈着してくるのを防ぐ働きがあります。

またマグネシウムは、細胞中でブドウ糖や脂肪がエネルギーに変換される仕組みに欠かすことができないんです。

なので、

マグネシウムが不足すると、よりだるさと疲労感が増していく。

慢性的なマグネシウム欠乏が続くと動脈硬化が進行し、最終的には心筋梗塞など心臓病の引き金となることもあります。                                 

ただの肩こりと考えず、症状が軽いうちに栄養素欠乏に対処することが事態の悪化を防ぐ最善の方法です。

 

ビタミンE、脂肪と血液循環

肩こりのほとんどの人、特に冷えが見られる場合、血液循環が悪いことが関係しています。

酸素を運ぶ働きのある赤血球の機能が低下したとき、血液の流れが悪くなる。

赤血球は細胞の一つで、赤血球の働きの良しあしは細胞膜の成分になる脂肪の性質に関係しています。

動物に多い、飽和脂肪酸を多くとっていると細胞膜が重くなり、柔軟性が失われます。

不飽和脂肪酸は、細胞膜を軟らかくし、赤血球の運動機能を高めます。         

青魚に含まれるエイコサペンタエン酸(オメガ3系脂肪)を十分にとっていると、赤血球の流れが速くなり、心臓病の予防になることが確かめられている。

ビタミンEは細胞膜の酸化を防ぐために重要で、ビタミンEはホルモンバランスも調節しています。

更年期や月経不順のある女性の肩こり、冷え性には、E不足が関係している可能性もあります。

 

 

 

食事の注意

・酢とクエン酸    梅干しや酢(米酢、リンゴ酢)、レモンを食べて、クエン酸を摂る。  クエン酸には乳酸を処理して、疲労を防ぐ働きがある。

・砂糖の制限     砂糖を多くとっていると、乳酸が増える。

・精製した殻類の制限 白米、うどん、白小麦粉食品、小麦粉の比率の高いそばを減らす。

・未精製の穀類    胚芽米、全流小麦粉パン、麦、雑穀などでビタミンB1とマグネシウム、マンガンを補給する。

・脂肪        牛肉、豚肉、鶏肉、乳製品など飽和脂肪酸が多く含まれた食品を避け、オリーブ油、亜麻仁油、青魚(鮭、いわし、さんま、さばなど)から良質の不飽和脂肪酸を摂る。

・食品添加物     ミネラルのバランスを崩すので、加工食品を制限する。

・食物繊維と乳酸菌  十分な量の野菜と穀物、大豆製品を食べる。  便秘の人に肩こりが多い。  乳酸菌は乳酸を餌として分解する。

・ナス科の野菜    肩こりと冷え性がある人は、トマト、ナス、じゃがいも、ししとう、ピーマンなど、ナス科の野菜を食べ過ぎないようにする。

            身体が冷えると、筋肉が硬くなって血流が悪くなり、こり感も出やすいので、身体を冷やす傾向の夏野菜は食べ過ぎないように。

ということですね!

 

まとめ

肩こり改善のポイント

・筋肉の緊張を緩和   →マグネシウム

・乳酸の発生を抑制   →ビタミンB1

・血液循環を良くする  →ビタミンE

・組織を柔軟にする   →マンガン、患部を温める

・運動不足と姿勢の改善

・ストレスを意識的に減らす

・食生活の改善

では、皆様 健康で笑顔な毎日でお過ごしください (^^)/